マリオネットラインの原因と治療法とは?2024年の最新論文をもとに解説

Director's Column

マリオネットラインの原因と治療法とは?
2024年の最新論文をもとに解説

たるみ治療の正しい知識を、わかりやすくお届けする「院長コラム」第3回
院
執筆・監修:宮﨑 修平(THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長/医学博士)
論理と医学的根拠に基づく診療を大切にしています。医学論文をもとに、たるみ治療について発信しています。

「口元の線が気になる」「疲れて見えると言われるようになった」――このようなお悩みの原因になりやすいのが、口角からあごに向かって伸びる「マリオネットライン」です。

多くの方は単なる「シワ」だと考えていますが、2024年に発表されたレビュー論文では、マリオネットラインは骨・脂肪・靭帯・筋肉・皮膚という顔全体の構造変化が積み重なって生じる現象だと説明されています[1]。この記事では、この論文をもとに原因と治療の考え方を解説します。

CONTENTS
  1. マリオネットラインとは
  2. 原因は「シワ」ではなく、顔全体の構造変化
  3. 日本人を含む東アジア人は目立ちやすい?
  4. 原因によって、適した治療は異なる
  5. 糸リフトが担う役割
  6. まとめ
  7. よくある質問
  8. 参考文献

1. マリオネットラインとは

マリオネットラインとは、口角からあごに向かって伸びる縦のラインのことです。操り人形(マリオネット)の口元の継ぎ目に似ていることが名前の由来とされています。このラインが深くなると、不機嫌そう・疲れて見える・老けた印象になるなど、顔全体の印象に大きく影響します。

2. 原因は「シワ」ではなく、顔全体の構造変化

論文では、マリオネットラインはひとつの原因でできるのではなく、複数の加齢変化が重なって生じると説明されています[1]。主な原因は次の5つです。

①骨が少しずつ痩せる

年齢とともに上顎・下顎の骨は少しずつ吸収されていきます[1]。土台となる骨が小さくなることで皮膚や脂肪を支えきれなくなり、口元のたるみにつながります。

②脂肪が下がる

頬の脂肪は重力の影響で徐々に下方へ移動する一方、口元まわりの深い脂肪(側下唇脂肪区画)は減少していきます[1]。この増減の差によって段差が生じ、ラインが目立ちやすくなります。

③靭帯が段差を作る

顔には皮膚を支える靭帯(下顎靭帯)があります。たるんだ組織は動く一方、靭帯で固定されている部分は動きにくいため、その境界に溝ができやすくなります[1]。

④口角を下げる筋肉の影響

口角を下へ引く「口角下制筋(DAO)」の圧迫も一因とされています[1]。加齢によって組織が下垂すると、この筋肉の影響を受けやすくなり、口角が下がった印象が強くなります。

⑤皮膚の老化

コラーゲンなどの減少により皮膚のハリが低下し、いったん折れ曲がった皮膚が元に戻りにくくなることも関与しています[1]。

3. 日本人を含む東アジア人は目立ちやすい?

この論文で興味深いのが、東アジア人の解剖学的な特徴に関する考察です。東アジア人では、口角まわりの筋肉が集まる「モディオラス」という部位の位置が、口角から外側へ約11mm・下方へ約9mmとされ、欧米人とは異なる傾向があると報告されています[1]。この構造的な特徴により、東アジア人は加齢とともに口角周辺がたるみやすい素因を持つ可能性があると考察されています[1]。

誤解のないように補足すると、これは「東アジア人は必ずマリオネットラインができる」という意味ではありません。あくまで解剖学的な「なりやすさ」についての知見であり、実際の現れ方には個人差があります。

4. 原因によって、適した治療は異なる

マリオネットラインの原因は人によって異なるため、論文でも原因に応じて治療法を組み合わせることの重要性が述べられています[1]。

主な原因適した治療の例
骨・脂肪のボリューム不足ヒアルロン酸注入
脂肪の下垂糸リフト
口角下制筋(DAO)の影響ボツリヌストキシン注射
皮膚のハリ低下高周波(オリジオキス)や超音波(ソフウェーブ、LDM)、肌育注射(スキンプラス、プルリアルシリーズ)

「マリオネットラインだからこの治療」という単純な考え方ではなく、「なぜそのラインができているのか」を診断したうえで治療を選ぶことが、自然な仕上がりにつながります。骨・脂肪・靭帯の加齢変化については、前回までのコラム「顔のたるみの原因とは?」「ほうれい線の原因と治療法とは?」でも詳しく解説しています。

5. 糸リフトが担う役割

論文では、糸リフトは下垂した皮膚や脂肪を持ち上げることで、口元のたるみを改善する方法として紹介されています[1]。特にPDO(ポリジオキサノン)製の吸収性スレッドについては、傷跡がほとんど残らない、全身麻酔が不要、軽度から中等度のたるみに有効、合併症が比較的少ない、といった特徴を持つ安全性の高い治療法としてまとめられています[1]。

糸リフト
ヒアルロン酸注射
ボツリヌストキシン注射
ソフウェーブ
オリジオキス

6. まとめ

マリオネットラインは、単なるシワではありません。骨・脂肪・筋肉・靭帯・皮膚など、さまざまな組織の加齢変化が重なって生じる「顔全体の構造変化」です[1]。だからこそ、すべての方に同じ治療が適しているわけではありません。

当院では、お一人おひとりのお顔を診察し、なぜマリオネットラインが目立っているのかという原因を丁寧に分析したうえで、ヒアルロン酸・糸リフト・ボツリヌストキシン・肌治療などを組み合わせ、できる限り自然な仕上がりをご提案しています。

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7. よくある質問

Qマリオネットラインとほうれい線はどう違いますか?
Aほうれい線は小鼻の脇から口角にかけてのラインであるのに対し、マリオネットラインは口角からあごに向かって伸びるラインです。どちらも頬・脂肪・靭帯・皮膚の加齢変化が関わる点は共通していますが、関与する脂肪区画や筋肉が異なるため、治療の考え方も少しずつ変わります。
Qヒアルロン酸をラインに直接注入すれば改善しますか?
A直接ラインに注入することでマリオネットライン自体を改善させることができますが、顔面全体のバランスでは、それが正しい治療ではない可能性もあります。骨や脂肪のボリューム不足が主な原因であればボリューム不足した部分を評価しマリオネットラインとは違う部位にヒアルロン酸を注入することが最善である可能性もあります[1]。また、皮膚や脂肪の下垂、筋肉の影響が強い場合はヒアルロン酸だけでは改善しにくく、糸リフトやボツリヌストキシンなど別のアプローチが必要になることがあります。まず原因を見極めることが大切です。
Q糸リフトは痛みや傷跡が心配です
A論文では、PDO製の吸収性スレッドは全身麻酔が不要で傷跡もほとんど残らず、合併症も比較的少ない治療法として報告されています[1]。もちろん個人差はありますので、ご不安な点は診察時に遠慮なくご相談ください。

8. 参考文献

  1. Hong GW, Kim SB, Park SY, Wan J, Yi KH. Why do marionette lines appear? Exploring the anatomical perspectives and role of thread-based interventions. Skin Research and Technology. 2024;30(4):e13676. pmc.ncbi.nlm.nih.gov
  2. 宮﨑修平. 顔のたるみの原因とは?医学的根拠にもとづく4つの分類でわかりやすく解説. THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長コラム. 2026.
  3. 宮﨑修平. ほうれい線の原因と治療法とは?医学的根拠にもとづく正しいアプローチ. THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長コラム. 2026.
この記事の執筆・監修
宮﨑修平 院長
宮﨑 修平
THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長 / 医学博士

「たるみ治療のかかりつけ医に。」を掲げ、流行や感覚だけに頼らず、論理と医学的根拠に基づく診療を重視しています。診察・アセスメントを丁寧に行い、一人ひとりに適した治療を考えます。

  • 美容外科医 / 糸リフト・たるみ治療に特化
  • 医学博士/循環器内科専門医として慢性炎症・動脈硬化の研究に従事
  • 国内外の医学論文をもとにエビデンスに基づいた美容医療を発信
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