ほうれい線の原因と治療法とは?医学的根拠にもとづく正しいアプローチ

Director's Column

ほうれい線の原因と治療法とは?
医学的根拠にもとづく正しいアプローチ

たるみ治療の正しい知識を、わかりやすくお届けする「院長コラム」第2回
院
執筆・監修:宮﨑 修平(THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長/医学博士)
論理と医学的根拠に基づく診療を大切にしています。医学論文をもとに、たるみ治療について発信しています。

「ほうれい線」は、中高年の方のお悩みで最も多いもののひとつです。顔の真ん中にあるラインなので、鏡を見るたびに気になってしまう方も多いのではないでしょうか。

ですが、ほうれい線はそれ自体が「原因」ではなく、頬のボリューム減少・脂肪の下垂・皮膚の弾力低下など、さまざまな老化変化が現れた「結果」です[1][2]。この記事では、ほうれい線がなぜできるのかを原因ごとに整理し、それぞれに合った治療の考え方を解説します。

CONTENTS
  1. ほうれい線は「原因」ではなく「結果」
  2. ほうれい線を気にしすぎない、という考え方
  3. ①頬こけ ― 骨や脂肪の減少
  4. ②脂肪の下垂
  5. ③皮膚の弾力低下
  6. ほうれい線への直接治療(ヒアルロン酸注入)
  7. まとめ ― 目標は「ほうれい線を消すこと」ではない
  8. よくある質問
  9. 参考文献

1. ほうれい線は「原因」ではなく「結果」

ヒアルロン酸治療に関する文献では、頬(ミッドフェイス)の治療がほうれい線・涙溝(涙袋の下のくぼみ)・目の下のくぼみといった複数の部位に影響することが指摘されており、顔を部分ごとに見るのではなく、全体として捉える「Whole-Face Approach(顔全体を診るアプローチ)」の重要性が提唱されています[2]。

つまり、ほうれい線だけを見て治療方針を決めるのではなく、その背景にある頬・脂肪・皮膚の変化まで含めて考えることが、遠回りのようで実は近道になります。

2. ほうれい線を気にしすぎない、という考え方

少し意外に思われるかもしれませんが、まず大切な考え方は「ほうれい線を気にしすぎないこと」です。ほうれい線は赤ちゃんや子どもにも存在する線です。それでも気にならないのは、そのほかの全体的なバランスが若々しく整っているからです。

ほうれい線だけを浅くしようとヒアルロン酸を注入し続けると、数年後には過剰注入になってしまうことがあります。実際、治療の専門家の間でも「ほうれい線への直接的な過剰補正は、かえって中央部の膨らみを増やしてしまう」ことが指摘されており、まずは頬の外側(側方)から整えるべきとされています[1]。治療のゴールは「ほうれい線を消すこと」ではなく、「全体的に若々しく見えること」に置くのが理にかなっています。

3. ①頬こけ ― 骨や脂肪の減少

加齢により頭蓋骨はわずかに小さくなり、深層脂肪も減少していきます。すると、皮膚の表面積と骨格の表面積のバランスが崩れ、皮膚が余ってたるみとして現れます。まんじゅうの餡(あん)が減ると皮が余ってしまうイメージに近いかもしれません。

頬こけに対する当院の考え方

この場合、減った中身を補うヒアルロン酸注入が有効です。ポイントは、ほうれい線そのものではなく頬の外側(側方)から補うこと。コンセンサス(専門家会議)の提言でも、ほうれい線や頬の治療ではまず外側の頬を整えて自然なリフト感を作り、その上でラインへの補正量を最小限にとどめることが推奨されています[1]。

興味深いことに、頬へのヒアルロン酸注入がほうれい線を物理的に引っ張って改善させる、という仕組みは科学的には確認されていません。3Dカメラを使った研究では、頬に注入しても、ほうれい線までの皮膚が直接引っ張られる現象は見られませんでした。改善して見える理由は、頬から目の下にかけての凹凸がなだらかになり、視覚的にほうれい線が目立ちにくくなるためと考えられています[3]。

4. ②脂肪の下垂

頬(チーク)の脂肪のボリュームが多い方は、加齢とともに靭帯の弾力低下と重力の影響で脂肪そのものが下垂していきます[4]。その脂肪がほうれい線の真上に溜まることで、ラインがより深く、はっきりと見えてしまいます。

脂肪の下垂に対する当院の考え方

このタイプには、糸リフトや、たるみ治療機器(特にオリジオキス)によるリフトアップ治療がおすすめです。下垂した組織そのものを引き上げることで、ほうれい線の目立ちを根本から和らげます。重力や靭帯の変化については、前回のコラム「顔のたるみの原因とは?」でも詳しく解説しています。

5. ③皮膚の弾力低下

加齢とともにコラーゲンが減少し、皮膚そのものの弾力が失われていきます。この場合、頬の脂肪自体はそれほど多くなくても、皮膚がたるむことでほうれい線が気になってくることがあります。いわゆる「皮たるみ」の状態です。

皮膚の弾力低下に対する当院の考え方

このタイプには、皮膚のコラーゲンそのものを増やす治療が向いています。当院ではソフウェーブ・LDM・肌育注射などをご提案しています。コラーゲンの減少メカニズムについても、前回のコラムで解説しています。

6. ほうれい線への直接治療(ヒアルロン酸注入)

ほうれい線そのものへの治療として最も一般的なのが、ライン上へのヒアルロン酸注入です。決して難しい処置ではありませんが、選ぶ製剤・注入する層・注入する量によって、仕上がりや持続期間が大きく変わってきます。

前述の通り、ライン単体への過剰な補正は不自然な膨らみにつながりやすいため[1]、カウンセリングで頬やその他の要因もあわせてしっかりアセスメントしたうえで、慎重に方針を決めることが大切です。

ヒアルロン酸注射
糸リフト
オリジオキス
ソフウェーブ
LDM
肌育注射

7. まとめ ― 目標は「ほうれい線を消すこと」ではない

ほうれい線は、頬こけ・脂肪の下垂・皮膚の弾力低下という3つの原因が、人によって異なる比率で組み合わさって現れる「結果」です。原因を見極めずにライン自体だけを埋め続けると、かえって不自然な仕上がりにつながることもあります。

目指すべきは「ほうれい線を消すこと」ではなく、「全体的に若々しく、明るい印象に見えること」。当院では、この視点を大切にしながら、お一人おひとりに合った治療をご提案しています。

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8. よくある質問

Qほうれい線は何歳くらいから目立ちはじめますか?
A頬のボリューム減少や皮膚の弾力低下の進み方には個人差が大きく、一律には言えません。ただ、赤ちゃんや子どもにもある線であることからも分かるように、「線があること」自体は異常ではありません。周囲とのバランスが変わり始めたと感じたら、一度ご相談いただくのがおすすめです。
Qほうれい線にヒアルロン酸を注入すれば解決しますか?
A原因によって適した治療が異なります。頬こけが主な原因であれば頬へのヒアルロン酸注入、脂肪の下垂が主であればリフト系の治療、皮膚の弾力低下が主であればコラーゲンを増やす治療が適しています。ライン単体への過剰な注入は不自然な膨らみにつながることがあるため[1]、まず原因を見極めることが大切です。
Q頬にヒアルロン酸を入れると、本当にほうれい線は目立たなくなりますか?
A頬への注入がラインを物理的に引っ張って伸ばす、というわけではないことが研究で示されています[3]。頬から目の下にかけてのなだらかな移行を作ることで、結果としてほうれい線が目立ちにくく感じられる、というのが実際のメカニズムに近いと考えられています。

9. 参考文献

  1. Kapoor KM, Chatrath V, Anand C, et al. Consensus Recommendations for Treatment Strategies in Indians Using Botulinum Toxin and Hyaluronic Acid Fillers. Plastic and Reconstructive Surgery – Global Open. 2017;5(12):e1574. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Lipko-Godlewska S, Bolanča Ž, Kalinová L, et al. Whole-Face Approach with Hyaluronic Acid Fillers. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology. 2021;14:169-178. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  3. Mowlds DS, Lambros V. Cheek Volumization and the Nasolabial Fold. Plastic and Reconstructive Surgery. 2018;141(5):1124-1129. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  4. 宮﨑修平. 顔のたるみの原因とは?医学的根拠にもとづく4つの分類でわかりやすく解説. THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長コラム. 2026.
この記事の執筆・監修
宮﨑修平 院長
宮﨑 修平
THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長 / 医学博士

「たるみ治療のかかりつけ医に。」を掲げ、流行や感覚だけに頼らず、論理と医学的根拠に基づく診療を重視しています。診察・アセスメントを丁寧に行い、一人ひとりに適した治療を考えます。

  • 美容外科医 / 糸リフト・たるみ治療に特化
  • 医学博士/循環器内科専門医として慢性炎症・動脈硬化の研究に従事
  • 国内外の医学論文をもとにエビデンスに基づいた美容医療を発信
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