ほうれい線は「線」だけ治療しても改善しない?3つの原因と糸リフト・ヒアルロン酸の選び方
ほうれい線は「線」だけ治療しても改善しない?
3つの原因と糸リフト・ヒアルロン酸の選び方
「ほうれい線には、ヒアルロン酸と糸リフトのどちらがよいですか?」診察でよくいただくご質問ですが、実は、ほうれい線に対する正解は一つではありません。なぜなら、同じように見えるほうれい線でも、その原因は人によって異なるからです。
2024年に医学誌『Diagnostics』へ掲載された論文[1]では、ほうれい線が目立つ原因を大きく3つのタイプに整理し、それぞれに応じて治療を考える重要性が解説されています。
ほうれい線が目立つ原因は、①鼻横の支え不足、②頬の脂肪や皮膚の下垂、③表情筋による皮膚の折れ込み、の3タイプに整理でき、実際には複合していることが多いとされています。論文ではさらに、頬の脂肪を効率よく持ち上げる「Reverse Technique」という糸リフトの手技も紹介されています。ただしこれは技術レビューであり、具体的な改善率や効果の持続期間を示した臨床試験ではありません。
- ほうれい線が目立つ3つの原因
- 実際には「複合型」が多い
- 糸リフトは「どこから、どの方向へ引くか」が重要
- 引き上げたあとに残る細い線へのアプローチ
- ほうれい線周辺は、安全面でも注意が必要
- この論文を読むうえでの注意点
- まとめ:大切なのは「原因を見極めること」
- よくある質問
- 自由診療に関する重要事項
- 参考文献
1. ほうれい線が目立つ3つの原因
① 鼻の横の「支え」が不足しているタイプ
鼻の横にある骨格や深部組織のボリュームが少ないと、その部分にくぼみが生じます。すると、くぼみと頬の脂肪との間に段差ができ、深いほうれい線のように見えます。これは皮膚に刻まれたシワというより、立体的な高低差によって生じる影です。このタイプは、比較的若い方でも目立つことがあります[1]。
治療では、ほうれい線そのものを浅く埋めるだけでなく、鼻翼基部や頬の支えを評価し、必要に応じてヒアルロン酸などで不足したボリュームを補います。
② 頬の脂肪や皮膚が下がっているタイプ
年齢とともに頬の脂肪や皮膚が下がると、ほうれい線の上に組織が覆いかぶさります。その結果、ほうれい線の上側は膨らみ、下側はくぼんで見えるため、境界の段差がより深くなります[1]。
このタイプに対して、ほうれい線へヒアルロン酸を追加するだけでは、頬の重さや膨らみが目立ってしまう場合があります。必要なのは、線を埋めることではなく、下がった組織を適切な位置へ戻すことです。その選択肢として、糸リフトによる組織の再配置や、HIFU・高周波治療による引き締めが検討されます。
③ 表情筋によって皮膚が折れ込むタイプ
上唇を持ち上げる表情筋の一部は、ほうれい線付近の皮膚とつながっています。笑ったときに筋肉が皮膚を引き込むことで、ほうれい線が深く見えるタイプです[1]。若い頃は笑顔のときだけ目立っていても、表情運動が繰り返されることで、次第に真顔でも線が残りやすくなります。
このタイプでは、単純に溝を埋めるだけで自然に改善するとは限りません。真顔だけでなく、笑ったときの皮膚や筋肉の動きまで診察する必要があります。
2. 実際には「複合型」が多い
実際のほうれい線は、3つの原因のどれか一つだけで生じるとは限りません。論文では、特に「頬の組織の下垂」と「表情筋による折れ込み」が重なっているケースが多いと説明されています。さらに、骨格的なボリューム不足が加わることもあります[1]。
つまり、ほうれい線治療は、次のような治療を原因に合わせて組み合わせることが大切です。
- ヒアルロン酸で支えを補う
- 糸リフトで下がった組織を移動させる
- HIFUや高周波で皮膚・皮下組織を引き締める
- 肌治療で細かい折れ目や皮膚の質感を整える
3. 糸リフトは「どこから、どの方向へ引くか」が重要
本論文では、ほうれい線上方の脂肪を効率よく持ち上げる方法として「Reverse Technique」が紹介されています[1]。
一般的な糸リフトでは、こめかみや耳の前など、顔の外側から内側へ糸を進めます。しかし、頬骨のふくらみや顔面のカーブによって、鼻に近い部分の脂肪を十分につかめない場合があります。
Reverse Techniqueでは、ほうれい線の外側にある柔らかい脂肪側から糸を挿入し、外側・上方へ進めます。通常とは反対方向から糸を入れることで、ほうれい線の上に覆いかぶさる脂肪をしっかり捉え、外上方へ移動させるという考え方です。
糸リフトの結果は、糸の製品名や本数だけで決まるものではありません。「どの組織をつかむのか」「どの方向へ引くのか」「どこで固定するのか」というデザインが、非常に重要です。
4. 引き上げたあとに残る細い線へのアプローチ
頬の組織を持ち上げても、ほうれい線の境界に細い折れ目が残ることがあります。論文では、そのような線をなだらかにする方法として、スプリング状などのボリュームスレッドを交差させて配置する「Cross Technique」も紹介されています[1]。
大きく下がった組織を引き上げるというより、持ち上げたあとに残る折れ目や質感を整えるための補助的な方法です。
5. ほうれい線周辺は、安全面でも注意が必要
ほうれい線の周囲には、顔面動脈や上唇動脈などの重要な血管が走っています。また、血管の位置には個人差があります[1]。
糸リフトは、ヒアルロン酸のように製剤を血管内へ注入する治療ではありません。しかし、針やカニューレによって血管を傷つける可能性がなくなるわけではありません。
さらに、糸の挿入位置が浅すぎると、皮膚の凹凸やひきつれ、糸が透けて見える原因になります。反対に深すぎると、筋肉や深部組織に干渉する可能性があります。安全で自然な仕上がりを目指すには、血管、脂肪、SMAS、靱帯、表情筋の位置を理解したうえで、適切な深さと方向へ糸を挿入することが重要です。
福岡で糸リフトについてさらに詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
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6. この論文を読むうえでの注意点
今回の論文は、解剖学と既存文献をもとに、ほうれい線の原因と糸リフトの手技を整理した技術レビューです[1]。Reverse TechniqueやCross Techniqueを受けた患者さんを集め、従来の治療と比較した臨床試験ではありません。そのため、具体的な改善率、効果の持続期間、合併症の発生率は示されていません。
紹介された方法が他の治療より優れていると証明した論文ではない点には、注意が必要です。一方で、ほうれい線を一つの「溝」として扱うのではなく、骨格、ボリューム、脂肪の下垂、表情筋という複数の視点から診断する重要性を示した点は、臨床的にも興味深い内容です。
7. まとめ:大切なのは「原因を見極めること」
ほうれい線があるからといって、全員に同じ治療を行うわけではありません。大切なのは、次のようなことを総合的に確認することです。
- 鼻の横や頬の支えが不足していないか
- 頬の脂肪が下がっていないか
- 笑ったときに線がどのように変化するか
- 皮膚のゆるみや細かい折れ目がどの程度あるか
THE LIFT CLINIC FUKUOKAでは、ほうれい線だけを診るのではなく、お顔全体の骨格、脂肪、皮膚、表情の動きを確認したうえで、必要な治療をご提案しています。「線を埋める」のではなく、「なぜその線ができているのか」を考える。それが、自然なほうれい線治療の第一歩です。
8. よくある質問
9. 自由診療に関する重要事項
糸リフト・ヒアルロン酸注入はいずれも自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。
主なリスク・副作用:腫れ、内出血、痛み、挿入部の凹凸・陥凹、左右差、感染、血管損傷(まれ)などが生じることがあります。多くは数日〜数週間で改善しますが、まれに追加処置が必要になる場合があります。
治療について:ほうれい線の原因は複合的であることが多く、単一の施術だけで解決しない場合があります。当院では診察のうえ、お一人おひとりの原因に合わせた施術内容をご提案しています。
10. 参考文献
- Hong GW, Song S, Park SY, et al. Why Do Nasolabial Folds Appear? Exploring the Anatomical Perspectives and the Role of Thread-Based Interventions. Diagnostics (Basel). 2024;14(7):716. doi.org/10.3390/diagnostics14070716
