糸リフトは本数が多いほど効果的?|PDO糸6本と12本を比較した研究を解説

Director's Column

糸リフトは本数が多いほど効果的?
PDO糸6本と12本を比較した研究を解説

たるみ治療の正しい知識を、わかりやすくお届けする「院長コラム」第6回
院
執筆・監修:宮﨑 修平(THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長/医学博士)
論理と医学的根拠に基づく診療を大切にしています。医学論文をもとに、たるみ治療について発信しています。

糸リフトを検討するとき、「何本入れればしっかり引き上がるのか」「本数を増やした方が長持ちするのか」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。たしかに、糸が多ければ支える力も強くなりそうに感じます。しかし、顔の組織は常に動き、たるみの原因や適した治療デザインも一人ひとり異なります。

2025年にAesthetic Surgery Journal Open Forumで発表されたランダム化臨床試験[1]では、PDO糸を左右合計6本使用した場合と12本使用した場合を比較し、糸の本数がリフト効果や満足度に影響するかが検討されました。今回はこの論文を、当院の見解とあわせて解説します。

結論を一言で

この研究では、同じ挿入法でPDO糸を6本から12本へ増やしても、60日時点の組織移動量・顔面の体積変化・患者満足度に有意な上乗せは確認されませんでした。ただし、これは「糸リフト全体が無効」という意味ではありません。

CONTENTS
  1. PDO糸6本と12本を、3D画像で比較
  2. 20日後には組織の上方移動を示す変化
  3. 本数を倍にしても、60日時点の効果に有意差なし
  4. なぜ、糸を増やしても差が出なかったのか
  5. この研究は「糸リフトに効果がない」という意味ではない
  6. 糸リフトで大切なのは、本数よりも治療設計
  7. まとめ
  8. よくある質問
  9. 自由診療に関する重要事項
  10. 参考文献

1. PDO糸6本と12本を、3D画像で比較

研究には、顔のたるみを認める30〜60歳の22名が参加しました。11名には片側3本ずつ、合計6本。残る11名には片側6本ずつ、合計12本のPDO製コグ付きスレッドが挿入されました[1]。

施術前、20日後、60日後に3D撮影を行い、中顔面と下顔面の体積、顔の組織がどの程度移動したかを測定しました。さらに60日後には、患者さん本人と第三者の専門家が、見た目の改善度を評価しています。

群糸の本数評価項目
G1(6本群)片側3本×左右=合計6本中顔面・下顔面の体積変化/組織移動量/患者満足度・第三者評価(0・20・60日後)
G2(12本群)片側6本×左右=合計12本

2. 20日後には組織の上方移動を示す変化

20日後には、6本群・12本群のどちらでも、中顔面の体積が増え、下顔面の体積が減少しました。これは、下方にあった組織が上方向へ再配置されたことを示す変化と考えられます[1]。つまり、施術後早期にはPDO糸による物理的なリフト効果が、3D画像でも捉えられたということです。

3. 本数を倍にしても、60日時点の効果に有意差なし

一方、60日後には、20日後にみられた組織移動や体積変化が小さくなっていました。また、6本群と12本群を比較しても、中顔面・下顔面の体積変化、組織の移動量、患者満足度のいずれにも統計学的な有意差は認められませんでした[1]。

この結果から、少なくとも今回の糸と挿入方法では、本数を6本から12本へ単純に増やしても、60日時点のリフト効果や満足度が比例して高まるとは限らないことが示唆されます。

4. なぜ、糸を増やしても差が出なかったのか

糸リフトは、コグを組織にかけて引き上げる治療です。しかし、糸は骨のような完全に固定された構造物に直接つながっているわけではありません。施術直後の上向きの牽引に対して、時間の経過とともに重力、組織の重さ、表情の動きなどが下向きに働き、初期の変化が小さくなった可能性があります。

また、PDO糸には周囲の組織反応やコラーゲン産生を促す可能性が報告されていますが、それが実際のリフト量や長期的な持続性にどの程度つながるかは、まだ十分に解明されていません。今回の60日間の研究だけでは、その後の変化までは判断できません。

今回の研究では、片側3本挿入する群も片側6本挿入する群も、同じマリオネットラインのエリアにすべて挿入されていました[1]。つまり、同じ領域への糸リフトでは本数を増やしすぎても、本数に比例して効果が増強するわけではない、という可能性が考えられます。決して「顔全体の糸リフトが片側3本で十分である」という解釈ではありません。

5. この研究は「糸リフトに効果がない」という意味ではない

論文の結論だけを見ると、糸リフトの効果そのものを否定しているように感じるかもしれません。しかし、ここは慎重に読む必要があります。研究対象は22名と少なく、追跡期間は約60日です。比較したのも、特定のPDO糸を特定の方法で6本または12本挿入した場合に限られます。無治療群もありません[1]。

したがって、この研究から「糸リフトは効果がない」「誰でも6本で十分」とは言えません。より正確には、「同じ術式で本数だけを倍にしても、60日時点で明確な上乗せ効果は確認できなかった」と解釈するのが妥当です。

6. 糸リフトで大切なのは、本数よりも治療設計

たるみは、皮膚のゆるみだけでなく、脂肪の位置や量、支持靱帯、骨格の変化などが重なって生じます。そのため、必要な糸の本数はすべての方で同じではありません。糸リフトでは、次の要素を総合的に考えることが重要です。

  • どの部位の組織を、どの方向へ動かすのか
  • たるみの程度や脂肪量に合った糸を選べているか
  • コグの形状や強度が目的に合っているか
  • 適切な層へ安全に挿入できているか
  • HIFU・高周波・ヒアルロン酸など、他の治療を組み合わせる必要があるか

「本数が多いほどよい」と考えるのではなく、必要な場所へ、適切な糸を、適切な方向に配置することが、自然な変化と安全性の両方を考えるうえで大切です。

7. まとめ

  • PDO糸リフト後20日では、6本群・12本群ともに組織の上方移動を示す変化がみられた
  • 60日後には初期変化が減弱し、6本と12本で体積変化・組織移動・満足度に有意差はなかった
  • 本数を単純に増やしても、効果が比例して高まるとは限らない
  • ただし、小規模かつ約60日の研究であり、糸リフト全体の有効性や長期効果を否定するものではない
  • 治療では本数だけでなく、適応、糸の種類、挿入層、牽引方向、複合治療を含む個別設計が重要

当院では、お顔の状態とご希望を確認し、必要な治療を過不足なくご提案することを大切にしています。糸リフトの本数や治療方法で迷われている方は、まずは医師へご相談ください。

福岡で糸リフトについてさらに詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
→ 福岡の糸リフト専門クリニック THE LIFT CLINIC FUKUOKA の施術詳細・料金はこちら

糸リフト
HIFU
高周波(RF)
ヒアルロン酸注射

8. よくある質問

Q糸リフトは6本で十分ですか?
A一律には決められません。この研究では6本と12本に有意差がありませんでしたが、必要な本数は、たるみの部位や程度、脂肪量、骨格、使用する糸、希望する変化によって異なります。
Q糸を多く入れるほど長持ちしますか?
A今回の研究では、本数を倍にしても60日時点の持続的な上乗せは確認されませんでした。ただし、異なる糸や術式、より長い追跡期間で同じ結果になるとは限りません。
Qこの論文では糸リフトの効果が60日でなくなったのですか?
A「完全になくなった」とは言えません。20日後と比べて変化が減弱し、両群の差がなかったという結果です。60日より先の経過は、この研究では評価されていません。

9. 自由診療に関する重要事項

当院の糸リフトについて

糸リフトは自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。

標準的な費用(税込):6本 ¥220,000/8本 ¥260,000/10本 ¥300,000/12本 ¥350,000/14本 ¥400,000/16本 ¥450,000(カウンセリングは無料です)

治療期間・回数:使用する糸は体内で吸収されるため、効果は永久ではありません。より効果を実感いただくには、定期的な施術(メンテナンス)をおすすめしています。

主なリスク・副作用:数日〜1週間程度のダウンタイムがあります。腫れ、内出血、違和感、口の開けにくさ、こめかみの痛みなどが出現することがありますが、1週間以内には落ち着くことが多いです。

10. 参考文献

  1. Germani M, Munoz-Lora VRM, Carnevali ACN, et al. Is More Always Better? A Randomized Comparative Clinical Trial About the Impact of Polydioxanone Threads Quantity for Facial Lifting. Aesthetic Surgery Journal Open Forum. 2025;ojaf002. doi.org/10.1093/asjof/ojaf002
この記事の執筆・監修
宮﨑修平 院長
宮﨑 修平
THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長 / 医学博士

「たるみ治療のかかりつけ医に。」を掲げ、流行や感覚だけに頼らず、論理と医学的根拠に基づく診療を重視しています。診察・アセスメントを丁寧に行い、一人ひとりに適した治療を考えます。

  • 美容外科医 / 糸リフト・たるみ治療に特化
  • 医学博士/循環器内科専門医として慢性炎症・動脈硬化の研究に従事
  • 国内外の医学論文をもとにエビデンスに基づいた美容医療を発信
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