ゴルゴラインの原因と治療|ヒアルロン酸だけに頼らない複合的なアプローチ

Director's Column

ゴルゴラインの原因と治療
ヒアルロン酸だけに頼らない複合的なアプローチ

たるみ治療の正しい知識を、わかりやすくお届けする「院長コラム」第4回
院
執筆・監修:宮﨑 修平(THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長/医学博士)
論理と医学的根拠に基づく診療を大切にしています。医学論文をもとに、たるみ治療について発信しています。

ゴルゴラインとは、目の下から頬の中央へ向かって斜めに走る溝・くぼみの俗称です。医学文献では主に「midcheek groove(ミッドチークグルーブ)」と呼ばれます。漫画『ゴルゴ13』の主人公の頬に描かれた線に似ていることから、日本ではこの呼び名が広まりました。

「ヒアルロン酸を入れれば消える」というイメージを持たれがちですが、実際には骨格・脂肪・靭帯・皮膚など複数の要因が絡み合って生じる、中顔面の立体的な変化です[1][2]。今回は、ゴルゴラインがなぜ生じるのか、そして当院がどのように治療方針を組み立てているかを、文献をもとに解説します。

CONTENTS
  1. ゴルゴラインは、単なる皮膚のシワではない
  2. ゴルゴラインが目立つ原因は人によって異なる
  3. 治療で大切なのは「原因となる層」を見極めること
  4. ①ヒアルロン酸注入 ― 失われた立体構造を補う
  5. ②糸リフト ― 下垂した頬部組織を再配置する
  6. ③HIFU・RF ― 皮膚や支持組織のゆるみを引き締める
  7. ④肌育注射・LDM ― 皮膚の質を整える補助治療
  8. 当院が考えるゴルゴライン治療
  9. よくある質問
  10. 参考文献

1. ゴルゴラインは、単なる皮膚のシワではない

ゴルゴラインは、ひとつの靱帯だけ、あるいは皮膚の老化だけで生じるものではありません。眼輪筋やその周囲の線維性組織、頬の脂肪、骨格、皮膚の質など、複数の要素によって生じる中顔面の立体的な変化です。

解剖学的研究では、眼輪筋の内側部分(medial band)と、その周囲から皮膚へ連続する線維性組織が、ゴルゴラインの走行に関係することが示されています[1]。また、目の下のtear trough ligamentやorbicularis retaining ligamentなどの支持組織も、周囲組織との高低差をつくる要因になります[2]。

2. ゴルゴラインが目立つ原因は人によって異なる

そのため、ゴルゴラインが目立つ原因は患者様によって異なります。当院では、主に次のような要因を診察で確認しています。

要因内容
骨格・支持組織生まれつきの骨格や、靭帯の付着・走行の違い
骨格の加齢変化眼窩下縁・上顎骨周囲の骨吸収による土台の変化
深部脂肪SOOFなど深部脂肪の萎縮や位置の変化
頬部脂肪脂肪の下垂や、脂肪区画間のボリュームバランスの変化
皮膚菲薄化、弾力低下、小ジワや乾燥

若い方でもゴルゴラインが見られることがありますが、必ずしも「靱帯が短い」ことだけが原因とは限りません。骨格、脂肪分布、眼輪筋と線維性組織の構造など、先天的な要素が複合していると考えられます。構造的な要因が強い場合、完全に線を消そうとすると不自然なボリュームになることがあるため、適度な改善を目標にすることが重要です。

3. 治療で大切なのは「原因となる層」を見極めること

ゴルゴラインは複数の要因から形成されるため、すべての方に同じ治療が適しているわけではありません。当院では、①ボリューム不足、②頬部組織の下垂、③皮膚・支持組織のゆるみ、④皮膚そのものの質、という異なる層を診察し、必要な治療を組み合わせます。

原因となる層主な治療
①ボリューム不足ヒアルロン酸注入
②頬部組織の下垂糸リフト
③皮膚・支持組織のゆるみHIFU・RF(オリジオKISS)
④皮膚そのものの質肌育注射・LDM

4. ①ヒアルロン酸注入 ― 失われた立体構造を補う

骨格や深部脂肪のボリューム不足が主な原因であれば、ヒアルロン酸注入は中心となる治療です。ゴルゴラインだけを表面的に埋めるのではなく、頬骨周囲や眼輪筋下などを含めて中顔面全体のバランスを評価し、必要な部位・層へ少量ずつ補充します。

眼輪筋下への深部への軟部組織充填を行った研究では、34例すべてで溝の深さが有意に減少したと報告されています[1]。一方で、目の下から頬にかけてはむくみや凹凸が生じやすい部位でもあります。骨格や皮膚の状態を考慮せずに注入量を増やすと、頬が過度に膨らんだ印象になる可能性があるため、適切な注入層と量の選択が重要です[3]。

5. ②糸リフト ― 下垂した頬部組織を再配置する

頬部組織の下垂がゴルゴラインを強調している場合には、糸リフトを検討します。糸リフトは、皮下組織を牽引・再配置することで、中顔面の輪郭を整える治療です。ボリュームを足すヒアルロン酸とは役割が異なるため、症例によって両者を組み合わせることで、注入量を抑えながら自然な改善を目指せる可能性があります[3][5]。

ただし、一般的なコグ付き糸によるゴルゴライン単独の改善効果については、直接的な臨床研究がまだ限られています。糸リフトだけですべてのくぼみを解消できるわけではなく、下垂の程度、脂肪量、組織の可動性を見極めて適応を判断します。

6. ③HIFU・RF ― 皮膚や支持組織のゆるみを引き締める

HIFU(高密度焦点式超音波)やRF(高周波)は、組織を加熱してコラーゲンの収縮・再構築を促し、皮膚や支持組織の引き締めを目指す治療です。くぼみを直接埋める治療ではありませんが、頬のゆるみがゴルゴラインを強調している場合には、補助的な選択肢になります[3]。

HIFUとRFは作用する深さや熱の入り方が異なるため、「どちらを照射するか」だけでなく、脂肪量や骨格に合わせて照射部位・出力を設計することが大切です。当院のオリジオKISSは、モノポーラRFとHIFUを1台に搭載しており、状態に応じて単独または組み合わせて照射できます。なお、HIFUやRFによるゴルゴラインそのものの改善を直接検証した研究は限定的であり、主に皮膚弾力や中顔面の引き締めを目的として用います。

7. ④肌育注射・LDM ― 皮膚の質を整える補助治療

皮膚が薄い方、乾燥や小ジワを伴う方では、PN製剤や非架橋ヒアルロン酸などの肌育注射を組み合わせることがあります。これらは大きなボリュームを補う治療ではなく、皮膚の水分量、弾力、きめなどの改善を目的とする治療です。PN製剤については、目周囲の皮膚性状(弾力・水分量・キメ・毛穴)の改善を示した比較試験がありますが、ゴルゴラインの深さそのものを直接改善する効果は、まだ十分に確立されていません[6]。

LDMも、肌状態を整えることを目的とした補助的治療として位置づけています。ただし、LDMや肌育注射がゴルゴラインの進行を予防したり、ヒアルロン酸・糸リフトの効果を長持ちさせたりすることを直接証明した臨床研究は現時点ではありません。主治療の代わりではなく、皮膚の状態に応じて組み合わせる治療と考えています。

8. 当院が考えるゴルゴライン治療

ゴルゴライン治療で大切なのは、線だけを見て一律に埋めることではありません。ボリューム不足にはヒアルロン酸、頬部組織の下垂には糸リフト、皮膚や支持組織のゆるみにはHIFU・RF、皮膚の菲薄化や乾燥・小ジワには肌育注射など、原因となる層に応じて治療を選択します。

すべての治療を行う必要があるわけではありません。診察で骨格、脂肪量、下垂、皮膚の厚みを見極め、過度に膨らませず、その方に合った自然な改善を目指すことが当院の治療方針です。

ヒアルロン酸注射
糸リフト
オリジオKISS
肌育注射
LDM

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9. よくある質問

Qゴルゴラインはヒアルロン酸だけで消えますか?
A原因となる層によって異なります。骨格やボリューム不足が中心であればヒアルロン酸が主な治療になりますが、頬の下垂や皮膚のゆるみが強い場合は、糸リフトやHIFU・RFを組み合わせたほうが自然な改善が見込めることがあります。
Q若いのにゴルゴラインが目立つのはなぜですか?
A先天的な骨格や靭帯の付着位置、脂肪分布などが関係している場合があり、必ずしも加齢だけが原因ではありません。診察で構造的な要因の有無を確認します。
Qヒアルロン酸を入れすぎると不自然になりませんか?
A目の下から頬は、むくみや凹凸が生じやすい部位です。当院では中顔面全体のバランスを見ながら、必要な部位・層へ少量ずつ補充することを大切にしています。

10. 参考文献

  1. Du Y, Zhong Y, Wang Z, Sui H, Luo S. Anatomic Characteristics and Treatment of the Midcheek Groove by Deep Filling. Dermatologic Surgery. 2021;47(2):e47-e52. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  2. Wong CH, Hsieh MKH, Mendelson B. The Tear Trough Ligament: Anatomical Basis for the Tear Trough Deformity. Plastic and Reconstructive Surgery. 2012;129(6):1392-1402. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  3. Carruthers J, et al. Consensus Recommendations for Combined Aesthetic Interventions in the Face Using Botulinum Toxin, Fillers, and Energy-Based Devices. Dermatologic Surgery. 2016;42(5):586-597. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  4. de Melo F, et al. Minimally Invasive Aesthetic Treatment of the Face and Neck Using Combinations of a PCL-Based Collagen Stimulator, PLLA/PLGA Suspension Sutures, and Cross-Linked Hyaluronic Acid. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology. 2020;13:333-344. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
  5. Yi KH. Volumizing Thread (Sihler Volume Thread) Technique for Infraorbital Hollowness and Midcheek Groove. Journal of Craniofacial Surgery. 2025;36(7):e999-e1003. journals.lww.com
  6. Lee YJ, et al. Comparison of the Effects of Polynucleotide and Hyaluronic Acid Fillers on Periocular Rejuvenation: A Randomized, Double-Blind, Split-Face Trial. Journal of Dermatological Treatment. 2022;33(1):254-260. pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
この記事の執筆・監修
宮﨑修平 院長
宮﨑 修平
THE LIFT CLINIC FUKUOKA 院長 / 医学博士

「たるみ治療のかかりつけ医に。」を掲げ、流行や感覚だけに頼らず、論理と医学的根拠に基づく診療を重視しています。診察・アセスメントを丁寧に行い、一人ひとりに適した治療を考えます。

  • 美容外科医 / 糸リフト・たるみ治療に特化
  • 医学博士/循環器内科専門医として慢性炎症・動脈硬化の研究に従事
  • 国内外の医学論文をもとにエビデンスに基づいた美容医療を発信
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